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移民国家アメリカで実感した異文化理解の大切さ

2021年4月11日

語学ができればいい訳ではない

多国籍チームと仕事をしていてつくづく感じるのは、言語力が高いことが必ずしもコミュニケーション力の高さに繋がらないということです。

考えてみると当然なのですが、外国語となると、わたしたちはなぜか言語スキルの高さがコミュニケーション力の高さと錯覚しがちです。

英検やTOEICのスキルが高いのに駐在先で大変な苦労をされた方や、選抜された英語ディベートグループの精鋭学生たちが他国の学生たちと全くディスカッションができなかった話など聞いたことのある方もいると思います。

わたしは正にコミュニケーションに非常に苦しんだクチで、現職でアメリカをはじめヨーロッパ、南米、アジアと様々な国のチームメンバーとのやりとりを通じ、日々気づきを得ています。

そんなわけでコミュニケーション関連の本を読むことが多いです。

世界ウーマンのブックレビューにもあるエリン・メイヤーの名著「異文化理解力(The Culture Map)」は特におススメの一冊。

彼女は言語と文化傾向を8つのカテゴリーからまとめていて、着目すべき点がわかりやすく解説されています。

 

文化から汲み取るコミュニケーションのスタイル

渡米当初、わたしはアメリカン・スタイルに我慢がなりませんでした(笑)。

電車やバスは定時に来なくて当たり前。事細かに、何から何まではっきりさせなければ話が通らない。当時は英語力の低さも手伝って、「信じられない!」とブリブリ怒ったことがよくありました。

でも元を辿れば、自分の生まれ育った日本の環境を基準にして勝手にキレていたわけです。自ら移住しておいて、そんな不満を向けるのはお門違いだったと今は反省しています。

特にアメリカは移民の国。島国で、ほぼ単一民族から構成される日本とは対極にある文化です。

「異文化理解力」では、日本語は先進諸国のなかで最もハイコンテクストな言語。対する英語は、最もローコンテクストな言語として紹介されています。

「ハイコンテクスト文化」とは言わば、価値観や考え方の近い人同士がコミュニケーションを取るということ。事細かく説明しなくても、お互いの言わんとしていることを「感じ取る」背景があります。

逆に、異なる国と文化から移り住んだ人々の集合体であるアメリカのような国では、価値観や考え方は当然バラバラ。「ローコンテクスト文化」は、異なる常識を持つ人たちが意思疎通を図れるよう、何事も明確に表現することが前提なのです。

国土の大きさや人種構成を見ただけで想像がつきそうなことですが、当時のわたしにはそんな文化背景は全く見えていませんでした。

ただ外国語として英語を捉えていたために「英語を勉強しても現地の人に伝わる気がしない」とフラストレーションを感じる場面が多かったのです。

 

文化視点を持つことで改善したチーム間のコミュニケーション

ハイコンテクスト文化とローコンテクスト文化の違いが自分で腑に落ちてから、わたしの英語は少なからず変わりました。今まで伝わらないと感じてイライラしていた原因がはっきりして、対処法が分かったからです。

多国籍チーム間のコミュニケーションではその点を踏まえ、彼らの英語の使い方(クセみたいなもの)やわたしへのフィードバックをオープンな気持ちで受け止められるようになりました。マインドセットの変化っていうのは、たとえ簡潔なやりとりでも相手に伝わるものです。

あと大切なのは、たった一度のやりとりで全て伝わると思わないことですね。特にわたしたちのようにハイコンテクスト文化で育った人間は、情報を割愛する傾向があります。

自分では十分に説明したつもりでも、ローコンテクスト文化の相手には不十分な情報で曖昧な印象を与えたり、本題の前後に丁寧に口上を述べすぎて、メッセージの焦点がぼやけることはよくあるので意識することが必要です。

また、アジア言語は聞き手側に責任があることが多いのですが、西洋言語は話し手に責任のあるスタイルが主ってご存知でしたでしょうか。

連絡した内容を聞き返されると、気分を害された感で「それは先日ご連絡しました通り~」となるのは、わたしたちの文化ではありがちなパターン。

欧米とのやりとりでは、早々と火花を散らす前に「Sorry for not being clear(ハッキリしてなくてごめんなさいね)」と一度は余裕を見せると、後々のコミュニケーションに有利ですよ。

文化視点から見た外国語コミュニケーションの話、いかがでしたでしょうか。お役立ていただけると嬉しいです。次回もお楽しみに!

Written by 野田理恵(アメリカ)

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