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”取り残される子供達が一人でも減るように” 栗山さやかさん(モザンビーク)

2021年5月29日

アシャンテママに通う子供たち

取り残されていく子供たちが一人でも減るように

事務局:子供たちへの教育活動はいつから始めたんですか?

さやか:女性達の勉強会を開いた時に子供も一緒について来て、学校に行っていない子供達も多いということも分かり、すぐに子供たちへの教育も始めようとなりました。

事務局:アシャンテママが運営する学校では、子供たちにプレミオという支給制度がありますよね。休まずに学校に通った子達(現在コロナ禍ではプリントを頑張った子達)にお米、石鹸、文房具などがご褒美としてもらえるという、子供たちが楽しく学校に通えそうな工夫ですね。

さやか:学校に行くより家の仕事を手伝うように言われる家庭も多いですから。何かもらえるものがあるというのは学校に通うきっかけにもなります。

事務局:子供たちへの教育面で、大事にしていることはありますか?

さやか:一番は命を落とす子を一人でも減らしたいので、HIVに感染している子たちや、体調を崩しやすい子供達には、栄養のある食べ物のサポートや、薬を飲むこと、病院に行くことの大切さを伝えています。

次に読み書きです。家族を支えるためにまき探しや水汲みで忙しく、また奥地にこもって長期間畑を耕さないといけない子供達は学校に行くまとまった時間が取れません。政府の学校に途中から行こうと思っても受け入れてもらえないんですよね。

学校で勉強する機会を得るまでは、読み書きだけでも教えることができればと思っています。今後周囲が発展していく中で、取り残されていく子供たちが一人でも減ってくれればと願っています。

厳しい環境でも子供達の笑顔は明るい

そして、子供達に助け合う気持ちを持ってほしいです。「大人になって困っている子供達がいたら手を差し伸べてあげてね。今支援してくれている人がいるように、大きくなったらみんなが助けてあげてね。世界が少しでも良くなるように」といつも話をしています。

「貧困は家族でさえ敵にする」と現地の人々から言われた言葉が心に残っています。でも、読み書きができて、教育を受ける機会があって、資格を取り、職に就くことができれば、命を守り、貧困から抜け出す一つの方法になると願っています。

事務局:本当に素晴らしい活動をされています。子供達にとって、それは一つの希望となるのではないでしょうか。スーパーウーマンですよ、さやかさんは。

さやか:そんなことないですよ。落ち込んでばかりです。

事務局:その点は是非聞きたいと思っていました。活動を継続するだけでも大変なことなのに、輪をかけて地域的に大変じゃないですか。泥棒に入られる、せっかく作ったものが壊される、警察は信用できないという状況が度々起こりますよね。そんな厳しい状況をどう乗り越えてきたんですか?

さやか:安全がない日々ということでいえば、私だけじゃなくてこの地域みんなが同じなので、そういう日々が当たり前になっていたと思います。何か起こった時にはもっと最悪なパターンを想像して、これくらいで済んで良かったと思うようにしています。

あとは、その時々に現地にいた外国人の宣教師や友人たちと話をすることで不安や心細い思いを解消していましたね。私が持っている悩みは現地の人たちに比べたら贅沢な悩みだなといつも感じていました。

事務局:すっかり現地に馴染んでいるというか、度胸が据わっているというか。

さやか:でも今は家族ができて葛藤があるのが正直なところです。

次のページ葛藤を繰り返して前進し続けるアシャンテママ

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