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”世界が注目する海洋環境問題解決を目指す” 荒井えみかさん(日本)

2021年6月27日

ロックフェラー夫妻を囲んでセイラーズフォーザシーメンバーと

日本人は魚をよく食べるのに、なぜ海の環境に無関心?

容子:子育てが少し楽になった頃から、セイラーズフォーザシーという海洋環境の会社にお勤めになりますよね?

えみか:子育てが一段落してきて、仕事を探しにハローワークに行ってみました。以前から、営利目的の会社ではなく、非営利団体で世の中の役に立つことを直接できないかと思っていました。

セイラーズフォーザシーは、ヨットマンである米国のロックフェラー家当主David Rockefeller, Jr.が設立した、海洋環境改善を目的としたNGOです。私の上司で、日本支局を設立した女性は、ニューヨークでロックフェラー夫妻と知り合ったそうです。

「日本は魚が豊富でよく食べるのに、なぜ海の環境に無関心なんだろうか?」と問いかけられ、日本でも支局を作るお手伝いをと、2011年から活動が始まりました。私は2013年の関西事務所立ち上げからスタッフに加わりました。3人のメンバーでスタートしましたが、今は東京、横浜にも事務所ができ、スタッフ7名となりました。

海洋環境については、地球温暖化や乱獲が原因で激減している魚が増えていて、太平洋クロマグロは、過去50年で9割以上減っています。日本は欧米諸国に比べると、水産資源の持続可能性への配慮という点で後れを取っている状況です。適切な管理漁業によって、資源がV字回復したなどの例もあります。

次の世代に健康な海を残すために、「おいしく、たのしく、地球にやさしく」をモットーに楽しみながら持続可能な選択ができるよう、知識と情報を提供していけたらと思っています。

容子:知っておきたいですよね。私達はあまりにも認識不足です。

地球にやさしいサステナブルな「ブルーシーフードガイド」の一部

えみか:そうなんです。売り場に並んでいるので、資源が減っているなんて思わないですよね。例えば、土用丑の日ということで夏にウナギを食べるイメージがあると思いますが、ウナギの本当の旬は冬なんです。

江戸中期に、平賀源内が売れなくて困っていた夏のウナギを売るPR戦略として、土用の丑の日ができたそうです。日本人はこの1日で国内年間消費量の約半数のウナギを消費しているとか。すでにニホンウナギは絶滅危惧種に指定されているのですが、だからと言って食べてはいけないではなくて、美味しく、持続可能な食を賢く選択していきたいですよね。

容子:全然知りませんでした。魚について、もっと知りたくなりました。

えみか:さまざまな科学的検証データを元に、私たちが作成している「ブルーシーフードガイド」というお魚のリストがあります。アメリカでは、モントレーベイ水族館発行の「Seafood Watch」という資源評価に基づいたレーティングプログラムがあり、信号の色と同じレッド「食べないで」、イエロー「中間」、ブルー「おすすめ」などに色分けされたリストがあります。

私たちは独自のメソドロジーに基づき、持続可能な水産物を選択したおすすめのブルーリストのみを発行しています。日本で購入できるお魚が掲載されているもので、毎年更新されるこのリストを参考にしてくださるといいと思います。リストにはカツオやブリ、サワラ、ホタテ、たらこ、いくら、アワビなどが含まれます。

容子:これからは、ブルーリストを意識して買いたいですね。

えみか:私達はブルーシーフードを通して、消費者がサステイナブルな選択していきやすいようなキャンペーンをしています。今、パートナーが40社ほど、ホテルや学校、一般企業などが賛同してくださっています。

京都大学では学生主体でブルーシーフードを広める活動に取組み、「ブルーシーフードカレー」などを開発して学食で販売しています。ブルーシーフードマークの魚を積極的に扱うパートナーさんが増えてきています。

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