尚子さん:講座でも案内がありましたけど、地方公共団体(自治体)に包括サービスセンターという部署があります。そこに連絡するとケアマネージャーさんを紹介してくれます。介護認定を受けると、ケアマネージャーさんが程度に合わせたサービス内容を選んでくれたり、相談して決めたりできます。
うちはデイケアや訪問介護以外にも、手すり棒の設置や見守りカメラの設置の提案もしてもらいました。最近はカメラがセンサー感知で対象者を追えるものもあったり、トイレに設置して利用するたびに家族に連絡がいくというような見守り器具もありますね。お弁当の宅配サービスもあります。配達だけでなく温めて出してくれるサービスもあるんですよ。
キエさん:サービスの程度によって値段が異なるわけですね。
尚子さん:そうです、そうです。
キエさん:ケアマネージャーさんのできる範囲って決まっているんですか?
尚子さん:サービスの手配など、実はケアマネージャーさんの手腕によるところが大きいようですよ。うちについてくださったケアマネさんは、寄り添ってくださる本当に頼りになる方でした。一方、ビジネスライクなケアマネさんで相談が難しかったという友人もいました。
キエさん:うちは両親の住む地域が高齢者ばっかりなんですよね。そのためにケアマネージャーさんが少ないのか、今回父の介護の件に関してもケアマネさんが来るのが遅かったんです。というか呼吸補助の機械を家に設置しただけで十分な説明がなかったようで、母が見よう見まねでやってるみたいなんです。介護してくれる方も1日1回、お風呂のサービスも3日に1回くらいみたいで、母は不安な様子です。
尚子さん:お母様が気になったことを気軽に聞ける人か場所があるといいですよね。ケアマネさんとの相性が合わなかった場合は変更をお願いしたらいいんじゃないかと思うんですけど、日本ではあまり積極的に意見したりする方は多くないのではと思いますね。与えられたものを受け入れるけれど、要求ってあまりしないようです。
キエさん:母も自分からは聞いてないと思うんですよね。
尚子さん:そうだと思います。兄がケアマネさんと話しているときに私が途中で質問したら、兄に「余計な事聞くんじゃない!」って怒られたこともありますし。業者さんや関係者にいろいろ質問したら相手から「その質問、初めて聞かれました」ってよく言われましたし。
でも裏を返せば、私たちみたいな海外在住者は「日本の制度がよくわからないので教えてください!」という体で積極的に相談することができるんじゃないかなと思います。
周:たしかに!海外在住者ならではの強みと言えますね!
尚子さん:自分でデイケアの見学に行った時に、ケアマネさんに「勝手に行かないで必ず私を通してください!」って怒られたこともありました。こちらはちょっと見るだけと軽い気持だったんですけど、その辺もざっくばらんに相談してもよかったのかも。
周:ケアマネさんの権力ってそんなに大きいんですか?
尚子さん:権力とかではなくて、ケアマネさんは介護のコーディネーターなので、全体の把握が必要なんだと思います。良くしてくださるケアマネさんは特に、行政と介護家族との板挟みになっている場合も多いんじゃないかと思うんですよね。なのでケアマネさんの苦労とかその辺りも含めて、お互いにいろんな話ができると良い関係性が築けるんじゃないかなと思います。
周:では次に、介護・終活で大変だったことをお聞きしてもいいですか?