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女優兼歌手ヴァネッサ・エンジェルが交通事故で死亡、インドネシアの交通事情

2021年12月3日
杏子スパルディ (インドネシア)

「表向きの」交通ルールが機能していない

大人の場合でも「一応、表向きの」交通ルールは存在しますから、例えば免許不携帯やルール違反で警察に止められたとしましょう。

しかしながら、日本のように減点制度や免許証無効などの罰則ではなく、その場で警察に賄賂となる現金(さほど高額ではありません)を払えば解放してもらえるのです。

これはコラムに書いていいものか迷いましたが、運転免許証さえもお金で買うことができてしまうのが現実です。ですから、警察も違反者を取り締まるという意識で車やバイクを道路で止めているようにはとても思えません。

そして、インドネシアには日本のような車検制度もありません。

あの日本の制度は本当に素晴らしいと思います。定期的に義務で車の点検や整備をしなくてはいけない、それによって車の不調を早期に発見できるし、古くなったり不調のある車が道路を走ることができないですから。

インドネシアでは、がたがたと音がするマフラーから真っ黒な煙がでている車やバスが普通に走っています。

日本だったらおそらく映画やドラマの世界でしか見られない、「高速道路で自動車が炎上している」というシーンも頻繁ではないですが、あります。

 

法の重みがない現実

怖いことばかり書いてしまいましたが、それくらい法の重みがないのです。ですから運転する側も、交通安全という概念や乗客の命を預かるという意識がありません。

ある日本人の方は、インドネシア人の旦那さんに「車間距離はとるな」と教わったそうです。理由は、隙間が空いていればそこに車が割り込んできて危ないから。

初めて聞いた時は「どういうこと?」と思いましたが、自分で運転するようになってからこの言葉の意味がよくわかるようになりました。

実際インドネシアの道路では、たとえ高速道路でも車間距離はほぼ存在しません。車間距離は前後の距離もですが、時には左右の距離も驚くほど狭いです。

冒頭に書いた高速道路走行中の事故で亡くなったVanessaが、事故の前にインスタグラムのストーリーズを投稿していました。質問機能を使ってフォロワーに「私はこれからどこへ行くでしょうか」と問いかけたそうです。これが彼女の最後のSNS投稿でした。

両親を亡くし、生き残った子供のことを思うと、胸が痛みます。同時に、自分が運転するときも、人の運転する車に乗るときも、「安全意識」をしっかり持とうと改めて思います。

Written by 杏子スパルディ(インドネシア)

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