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イタリアの子供はかなりの野菜嫌い?イタリアの食育に関する考察

2021年10月2日
桜田香織 (イタリア)

ナスのカポナータ

逆に大人はほとんどみんな野菜好き

シチリアといえば特に夏野菜が有名であります。トマト、カラフルなピーマン(日本でパプリカと呼ばれている物)、ズッキーニ、そしてナス。

ナス料理は色々とありますが、代表的な「ナスのカポナータ」は嫌いな人がいません。しかし子供達はみんなナス嫌い。

一体どこで変化が訪れるのでしょうか?「そこが知りたい!」でも明確な答えが得られないのです。「徐々に食べるようになった・・・」、「気が付いたら食べるようになった・・・」という感じ。

てっきり「わー、娘が初めてナスを食べたわ。今日は記念日」とか、息子が初めてサラダを口にした「サラダ記念日」があるかと思いきや、全然そうではないんですよね。

聞いている私は拍子抜けです。そんなものなのか…。イタリアの親達は心配していなかったということなのです。

だったら日本のお母さんの野菜を細かく切って肉団子に忍ばせるとか、星やハート型に切り抜いて子供の好きそうなデコレーションをするとか、そういう努力は無駄なことになるのでしょうか?

好き嫌いがあると給食でも辛い思いをした経験のある方も多いと思います。バランスを考え抜いて作られた学校給食は、残さず食べましょうが原則ですから。

 

食卓でのコミュニケーション

ある年のクリスマス、子供も大人も勢揃い

経済大国になった日本、物に溢れた生活、海外からの輸入品もどんどん入り、コンビニという便利なものが存在します。忙しい方は毎日コンビニ弁当やワンコインのお弁当でランチを済ませることも少なくないでしょう。

つまり、豊かで便利になった分、食の大切さが忘れられているのが現状です。だから子供の頃にしっかりと食育をし、どうあるべきかを教え込むのはとても大切なことだと思います。

でも、なぜイタリアには存在しないのでしょうか?

イタリア人は、特に南イタリアの人達は大勢で食卓を囲むのが好きです。核家族が増えていると言っても、クリスマスやイースターなどの大切な行事には遠方からも家族が駆けつけるし、週末はお友達を招いてのホームパーティも盛んです。

おじいちゃんから小さい子供まで、20人くらいで一緒に食卓に着き、食事を楽しむことも多いです。

そう考えると「食育」の一つである食卓でのコミュニケーションについては、わざわざ教えなくても習慣として根付いているようです。

嫌いな物を食べるように無理強いしない、けれども楽しい雰囲気の中で自然と食べ慣れない物に手を出して、食べてみたら意外に美味しかったと思うこともあるのでしょうね。

そして、食の安全性や伝統料理の継承という点についてはイタリアの方が優れていることにも気が付きました。

結論として、子供の食育は大切なことであるけれど、イタリアのように本人の意思に任せて自発的に食べるようになるまで気長に待つというのも一つのやり方と言うか、一つのライフスタイルだなと感じました。

我が家でのホームパーティ。子供たちのために一口カツと鳥の唐揚げを用意(右上)

Written by 桜田香織(イタリア)

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