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世界有数ワクチン接種率の南米チリで中国産コロナワクチン体験

2021年7月10日
宇佐美美和子 (チリ)

平日ロックダウンが解除、ショッピングモールはおおむね通常通り

ワクチン接種についてはポジティブな意見が多い

2021年6月、私の街では平日ロックダウンは解除されました。ショッピングモールでは、映画館やイートインコーナーは閉まっていますが、おおむね通常通りの営業です。

ワクチンにより死亡リスクが下がっていると言われるものの、エリアごとのレベル別ロックダウンは継続されており、国境閉鎖措置による出国制限も継続されています。

周りのチリ人からは「首都をロックダウンすると、感染者が減る」という声も聞かれ、ワクチン接種の進捗具合というより、人の動きによるところが大きい、という印象もあります。

このようにワクチンの有効性に一定の疑問は残るものの、ワクチン接種自体については、おおむねポジティブな意見が多い印象です。

万全な効果ではないといえ、ワクチンによって感染や重症化を抑えることができるのであれば「特別な事情がない限り、打つべき」という雰囲気も強く、ここまでワクチン接種が順調に進んでいるのには、そういったチリ人の意識も背景にあると感じます。

現在は10代まで接種が進んでおり、またワクチンの有効性や持続性の観点から3回目のブースター接種についても検討が進んでいます。

最近では、色々な国のケースにおいて「中国のワクチン外交」という言葉が聞かれるようになりました。

チリに関していえば、かつては米国・日本が最大の輸出相手国でしたが、輸出額は2007年から、輸入額では2014年から、中国が貿易相手国のトップとなっています。

中国からの投資も増えてきており、このコロナ禍以前からすでに中国の存在感は増しています。

チリ政府としてはどちらに肩入れするわけではなく、うまく対中・対米バランスを維持していく姿勢のようですが、このコロナ禍においても中国が一定のプレゼンスを見せている、ということは言えそうです。

 

デジタル移動パスの導入と街の様子

週末のビーチ。親子連れや老夫婦がのんびり過ごしているのが印象的

元の生活に戻れている感じはまだないものの、最近の大きな変化として、ワクチン2回目接種から14日を経過した人向けに「デジタル移動パス(Pase de movilidad)」が交付されることになりました。

これまでロックダウン下での外出は、都度、外出許可証の取得が必要で、1回あたり2時間以内・週2回まで、行先もスーパーや病院など必要と認められる場所のみでした。

しかしこの移動パスを持っていれば、許可証なく外出する事が可能となります。さっそく私もパスを取得して外を歩いてみました。

ロックダウンの段階ごとに定められている規制内容は変わらないためマスク着用は必須で、近所のショッピングモールや飲食店等もクローズしていますが、ビーチや公園でみんながのんびりする光景を目の当たりにして、なんとも嬉しい気分になりました。

コロナ禍となってから1年以上のロックダウンで、外出のたびに許可証を取るのにも慣れたつもりでしたが、行先や時間を制限されずに外を歩けるのは、予想以上の開放感でした。

域内であれば自由に移動ができるので、これまでパソコンの画面上でしか会えなかった離れて暮らす家族の元へ行けるとか、お子さんがいる家庭では週末に外に出られるようになりストレスが減った、という声も聞きます。

まだ開いてる店に限りはあるものの、人の出は増えたように感じられます。

万全な有効性ではなくとも、ワクチンによって規制を緩める事が可能になり、人々に希望がもたらされ明るい雰囲気になってきたのはよかったと思います。

まだしばらく先は見通せませんが、1日も早いコロナ禍からの収束を願うばかりです。

Written by 宇佐美美和子(チリ)

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