オランダでプロサッカー選手を目指す
オランダ在住藤村ローズさん(長男13歳)
「ときめき」の話を受けてズバッと切り出したのは、世界ウーマンファウンダーでオランダ在住のローズさん。「私はときめきなんてないです。日本語の勉強を続けていくのはすごく大変で辛いです」
日本人の両親を持ち、香港生まれの13歳、サッカー少年の息子さんは、メインの国際校では英語、サッカークラブではオランダ語、親とは日本語を操るトリリンガルだ。
「息子には日本語で仕事ができるまでになってほしい」というローズさん。
根底には「日本人の息子」を日本人として育てる責任感、母親としての揺るがぬ信念が感じられた。多忙な生活の中、通信講座での日本語の勉強は毎日欠かさないという。
両親が日本人のため、家庭内での会話は日本語である。それでも、日本に住んだ経験もなく、ほとんどの教育を国際校で過ごした息子さんに日本語を勉強を続けさせるのは至難の技だ。
幼少の時から、家庭教師、塾、通信講座、と勉強を続け、マレーシア在住時代は一度日本人小学校にも編入させた。日本人学校には馴染めなかった息子さんは、現在オランダでは国際校に通いながらも日本語の勉強を続けている。
マカオ在住周さと子さん(長男14歳、長女13歳)
日本帰国時に行った習字教室の思い出
ここで座談会の司会であり、マカオ在住のさとこさんが登場。
「なんとしても日本語をやらせたい、というスタンスじゃないんです。継続した日本語教育はしていませんが、なるべく母子の会話は日本語にしています」。
中華系のいわゆる「タイガーマザー」である義母が、現在15歳、13歳のお子さん方の教育を一手に引き受けたため、日本語教育は押し出された状態。マカオ人の夫をもつ家族のメインの言語は広東語だ。
そして精力的なキャリアウーマンであるさとこさんは「仕事から夜8時くらいに帰ってきて、子供達に日本語教育する気力は残っていません。もう早く寝て、という感じだった!」と爽やかに言い切る。
それでも、アニメや漫画好きな長男くんは会話程度の日本語はできる。地元の学校で、おばあちゃんのしごきに耐えながらがんばるお子さんたち。それを見守るさとこさん。これもまた一つの形だなぁと素直に納得できるエピソードだった。
海外に住む子供の日本語教育のアプローチは親の心構え、家族のサポート、その国の日本語サポート体制などの環境によって違ってくる。
さまざまな状況がある中で、正しい答えも間違ったやり方もない。大事なことは日本人の母である自分が目標をかかげて、あとはそれにしたがって突き進むのみ。
「日本語がここまでできてほしい」でもいいし、「ここまでできたらいいな」でもいい。親も子供も自信を持って道を確立したならばそれが最良の道。
日本に住んだことのない、英国人の父をもつ筆者の子供たち(16歳の双子)も紆余曲折を経てここまで来た。
日本語を学ぶことで日本文化も、日本人としてのアイデンティティも育んでほしい。バイリンガルとまで行かなくても、いつまでも祖国を思う心を持っていて欲しい。それが筆者の信条である。
世界各国で奮闘する世界ウーマンの方々、これから海外に飛び出そうという読者の方々、お互いがんばりましょう!
マレーシアの国際校での放課後日本語教室
Written by アレン真理子(イギリス)
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