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シルクロードが運んだもう一つの産物、アゼルバイジャンで花開いた茶の文化

2021年5月19日
岡田環 (アゼルバイジャン)

花びらやハーブで香りを添えるのがアゼルバイジャン流

アゼルバイジャンは、実はソ連時代より有名な茶葉の生産地です。主な産地は、南部レンキャラン。香り高い紅茶と、良質な緑茶を製造しています。

紅茶でも、緑茶でも、ミルクではなく必ずレモンを添えます。このレモンも南部レンキャランが有名な産地。

しっかりと熟したオレンジ色に近い色味のレモンは、皮が薄く果汁がたっぷり、ほんのり甘い香りがして、お茶に本当によく合います。

また、砂糖はごつごつとした小さな塊のものを添えて、軽く茶に浸したものを口に含んでお茶を飲みます。その砂糖塊を、茶の中に沈めて溶かし、甘いお茶にすることはしません。

この国では「甘いお茶」は、プロポーズされた女性が、受諾を表すときのサイン。求婚者に、丁寧に淹れた甘くしたお茶を、恭しく差し出すのです。

また、アゼルバイジャンでは、ハーブや花びらなどで香りをつけた、フレイバーティーも好まれます。

茶葉を蒸らす時に、クローブの欠片を少し、山のハーブ、野生のタイムの枝を幾本か加えて、茶に豊かな香りをつけます。あるいは、干した薔薇の蕾やカモマイルの花なども、とても人気です。

特別な機会には、薔薇の花弁を蒸留したローズウォーターを、数滴たらした茶を入れたティーポットを、サモワールやチャイダンルックで温め、部屋中に良い香りを漂わせるという工夫も。

 

アゼルバイジャン式にお茶を楽しみましょう

家庭でもできる、アゼルバイジャン式お茶会のしつらいは、まず火にかけられる小さめのポットに濃いめのお茶を作りましょう。

そして差し湯の入ったティーポットを添えて、お茶の準備はOK。

添えるのは、薄切りのレモン、角砂糖に、数種類のジャムを準備して。アゼルバイジャンでは、お茶に果物を砂糖で甘く煮たものを添えます。

これもお茶の中に溶かし込むことはせず、ジャムを口に含んでから、その甘さを楽しみながらお茶を飲むというお作法です。

この時のジャムは、さくらんぼ、杏、葡萄やベリーの類が主流ですが、珍しいものだと、薔薇の花びらや、緑のオリーブ、なすなどの野菜の砂糖煮も。

そんなジャムを何種類も取り合わせて、ずらりと並べるのが、アゼルバイジャン式のおもてなしです。

他には、パクラヴァやシェケルブラ、ハルヴァやロクムなどの伝統のお菓子や、胡桃やアーモンド、ヘーゼルナッツなどのナッツ類、季節の果物などを並べることもあります。

まずは手軽に、お家にあるジャムとレモン、そしてアゼルバイジャン式に淹れたお茶で、エキゾチックなお茶会を楽しんでみませんか。

Written by 岡田環(アゼルバイジャン)

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