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「裏方さん」を通して発見した中国流仕事スタイル

2021年4月17日
MOKO (中国)

早い、細かい管理は日本人ならでは?

1年前中国の日系企業で働いていた私はふと、「100%中国人の環境で働いてみたい!」と思った事がありました。そんな思いが今、現実となって目の前に現れました。

1月の終わりから中国映画『长津湖』の撮影ロケに参加しています。この映画は映画市場でも最高スタッフを誇り、中国政府も全面バックアップの超大作。

7000人以上が参加していると言われており、私はその中で唯一の日本人です。私の仕事は外国人演者の勤怠管理やデータ管理、いわゆる「裏方さん」。

今回は「裏方さん」を通して発見した、中国流仕事スタイルをご紹介しようと思います。

この映画ではたくさんの外国人演者も起用している為、中国語だけでなく英語も飛び交います。

映画の撮影は監督や制作側の指示によって、早朝や深夜に及ぶこともありますし、スケジュールが前日に決まったり、急な天候変化で撮影場所まで行ったのに撮影中止になったり、毎日いろんな事が起きます。

私は約50名の外国人演者さんの勤怠管理をしています。誰が何時に出発し仕事を終えたのか、出退勤時刻や遅刻、欠勤を記録していきます。

一人一人、出勤時間が違えば撮影現場も異なります。勤怠管理は演者さんのお給料に直接関することなので、細かい管理が必要です。

外国人エキストラ役者さん達とのオフショット

そんなある日、表の中に数名の時間記録が無いことに気づき、中国人同僚にすぐに確認を頼むと、「細かすぎるよ。そこまでしなくていいよ。日本人ってそんなに細かいの?」と言われ、一瞬手が止まりました。

日系企業や日本で就業していた際に細かすぎると言われたことがなく、どちらかというとおっちょこちょいの凡ミスが多いタイプの私。そんな私が中国では細かすぎる!?

またある日には期日付きでデータ提出があり、早めに提出したら、「もう終わったの?後で提出してもいいよ、なんなら明日でもいいよ。」

「ん?決められた期日はどこにいった?」と思わず心の中で突っ込んでしまいます。

日本的感覚だと、期日までに仕上げたい、早く仕上げれば他の仕事に取り組めるので前もって準備や効率を考えますよね。日本的感覚がこちらではちょっと度が過ぎるくらいに映ったようでびっくりしました。

給料締め日に勤怠表をボスに見せた時、「勤怠管理はこのチームの中で君にしかできないと思うんだ。よくやってくれた、谢谢!」ボスの信頼を勝ち取り思わずガッツポーズ!

 

中国は仕事より食事優先?

撮影現場で豚を発見!

お腹が空いている、でもどうしても終わらせないといけない仕事がある。さて皆さんはどちらを優先しますか?中国はご飯優先のように感じます。

ある時、急な資料提出依頼があり(いつも急に仕事が来るのが中国流)、データ整理に時間を追われている真っ只中、ボスから今すぐ仕事を止めて、ご飯を食べなさい!と怒られました。

「え?仕事優先じゃないんですか?」と問うと、「ご飯が先だ!!!」とバシッと言われました。

他にもボスや同僚から急な電話があり、何事かと思うと「今どこにいる?ご飯は食べた?」と笑っちゃうくらい頻繁に聞かれます。

広東省の人が特にご飯に対して意識が高いのかと思っていましたが、以前のコラム「ニーハオ」より日常生活でよく使う「ご飯食べた?」は中国人にとって大切な挨拶で書いた記事を参考に、実は中国全土皆さん、ご飯に対する意識が高いようですね。

仕事を終わらせてからご飯を食べたい派の私も、中国では仕事の事を考えながらご飯を食べることもしばしば。

中国あるあるだと思うのですが、「今すぐコレやって!今からこのルールに従ってください」と急に内容が変わる事がしばしばあります。

良く言い換えれば、柔軟に対応できる能力が養われそうですが、日本のように「準備する、順序立てる、区切りや節目を大事にする」と言った環境で育ってきた私にとって、どうしてもこの急な対応にドギマギしてしまいます。

以前はあまりにも変化が激しいので、前準備していた資料をまた一から作り直しなど、泣きたくなるような事が何度かありましたが、現在は私も準備しなくなり(笑)、「またきたぞ!」と面白がって取り組むように心がけています。

中国人同僚とスタッフパスを持って

中国では当たり前のように昨日までのルールが今この瞬間から変わり、ボスや責任者の匙加減で調整される事が多いです。

匙加減調整で優勢に立つには、やはり関係性が重要になってくるのも中国らしいです。その結果、正確性は欠けるのですが、スピード感を持って仕事をする事になります。

行き当たりばったり感が否めないですし、統計を取ったり、最後の締めの時にどうしてるんだ?といつも疑問に思うのですが、それでもドンドン前に前進が中国流!

今日も何が起こるのか予想もつきませんが、何はともあれ今日も笑顔でニーハオ!

Written by MOKO(中国)

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