先日、久しぶりに日本に住む友人と話をしていた時に、アメリカでの来客時のおもてなしについての話をしていて大変驚かれたことがありました。
多様性の国アメリカでは「アメリカだから」という言葉では一括りにできないのですが、例え話として、私の身近な環境のことをお話ししたいと思います。
アメリカではホームパーティなどで客人(ゲスト)を招待した時、お客さんが家に入ってきて家人(ホスト)は、いきなりお茶やお酒を振る舞うということはあまりしません。
まずはじめに、お客さんに”What would you like to drink?”や、もっとカジュアルでしたら、”Do you want to drink something?”のように、何が飲みたいかを尋ねるのです。
すると大抵の場合は、「何があるの?」という風に、お客さんからも聞き返されます。
このような話を日本の友人に話したらとても驚かれたのです。
日本からアメリカに来て、初めてこのような社交の場を経験する時に、一般的には日本人は大変に謙虚なので、首を横に振ったり、手などのボディランゲージで「結構です」の仕草をします。
しかしながら、日本で言う「お構いなく」のような素振りや身振りは、実はアメリカ人を混乱させてしまいます。
そして「お構いなく」と伝えてしまった時には、本当にお構いされないのです。
ですから「何か飲みますか?」と聞かれたら、自分の好きな飲み物を言った方がいいのです。
例えば「ではビールをください」と言った時に、次に来るホストからの質問が「どの銘柄のビースが好き?」と言った具合なのです。
もし自分の好きな銘柄があれば、その銘柄まで伝えて大丈夫です。このような状況の時は、自分の好みをはっきりと伝えることが大事です。
中には「水をください」という人もいます。
「水?だけ?」と、友人はまた驚いていましたが、アメリカでは飲料水も購入しなければならないところがたくさんありますし、人によってはカフェインやアルコールを控えている場合もあります。
ですから、「水をください」と言われた時は、グラスに水を入れて差し上げます。
日本でしたら家人がお客様をおもてなしするのが一般的で、客人の方にはあまり選択肢がないのではないでしょうか。
客人が「どうぞすぐに失礼しますので、お構いなく」と言ったとしても、日本人の家庭では、お茶と何かお菓子が出てくるのが一般的だと思います。
このような個人の選択肢と言うのは、アメリカに住んでいると枚挙にいとまがないのです。
レストランでサンドイッチを注文したとしても、「どの種類のパンを使うか?」から始まり、「チーズが必要か?」サイドは「フレンチフライかコールスローどちらにするか?」「サラダドレッシングは何がいいか?」など、注文時に聞かれることもよくある話です。
全てのメニューが選択できるわけではありませんが、サーバーが、「メニューについて何か質問はありますか?」と、質問の余地をお客さんに与えることも普通に行われます。
これも日本から旅行で来た人たちは大抵驚かれます。さすが、自分のことは自分が選択したい、決めたいという自由の国アメリカならではのことです。
しかし、実は自由という定義と並行して、選択権が自分にあるということは責任も自分にあるということにもつながるのです。
店が決めたパンとチーズや一種類だけのサラダドレッシングが、健康上の理由で食べられないとか、宗教上の理由で食べられないなど、様々な理由があり、店側もお客さんが食べるものに選択の幅を持たせているのです。
このような日常からもアメリカの多様性を垣間見ることができますね。
Written by スペイツ由美(アメリカ)