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南米最南端の旅。アンデス山脈を境にチリとアルゼンチンにまたがるパタゴニア

2021年1月6日
岩井真理 (ブラジル)

南米で一番美しい「ペリトモレノ氷河」

翌日は、南米で一番美しいと言われる「ペリトモレノ氷河」を見に行きました。

全長35km、表面積は195K㎡、高さは60~70mですが、それは見えている部分だけで、下には深く何百mも伸びています。まさに「氷山の一角」目に見えることだけを信じてはいけないですね。

ここは降雪が多く比較的気温が高いので、氷河の流れは速く、平均して1日2mずつ動き成長しているそうです。特に夏である12~3月には、頻繁に崩落が起きています。

マガジャネス半島の先端部に、氷河を見渡せる展望台があります。

板張りの遊歩道は3コースあり、中心となる黄色コースは、全長35kmある氷河の14kmが正面から見渡せます。ひとつ下のコースへ降りると、視線が氷河と同じ高さになります。

ここに立ち、パリンとした空気の中でしばらく眺めていると、乾いた銃声のような爆音がしました。氷に亀裂が入ったのです。まもなくして、大きな氷の塊が崩落する様子を目撃することが出来ます。

さらに遊歩道を下りていくと、手が届きそうな近い場所から氷河を見ることが出来、なかなかの迫力です。

遊歩道は、自由に歩きまわることができるので、途中のベンチで予め準備しておいたランチボックスを広げるのもOKです。

澄んだ空気の中で、雄大な氷河を眺めながらの昼食は心地よいものです。

他に、氷山の上を歩くトレッキングツアーもあります。足腰に自信のある方は、ぜひともチャレンジしてみてくださいね。

 

グラシアレスグルメ号氷河観光クルーズ

翌日は、メインイベントである「グラシアレスグルメ号氷河観光クルーズ」です。

少し早起きして桟橋まで向かうと、思った以上に大きなフェリーが停まっていました。この船で、朝9時から夕方5時まで、アルゼンチン湖を中心に国立公園内を回ります。

昨日は上からや横からたくさんの氷河を見ましたが、今日は湖の中から見上げます。

桟橋では、すでにいくつかのグループがスタンバイしていました。係の案内に従って、グループごとに指定された席に座ります。大きなフェリー船が満席になる人気ツアーです。

最初はみんな着席したままでしたが、動き出すと甲板に出る人が多くなって来ました。外気はかなり冷たいけど、キーンとして気持ちが良いです。

出発からまもなくして、氷河の隙間に虹がかかっているのが見えました。幸先が良いですね。大きくそびえ立つ壁のような氷河は、圧巻です。所々に、崩落した氷河の一角が浮かんでいます。

昨日見たときは、さほどの大きさを感じませんでしたが、こうして間近で見ると、ちょっとした島のようです。

氷河は、印象的な水色です。氷がなぜ青く見えるのか、知っていますか?

氷河は雪の結晶が解けて出来たものに圧力がかかっているので気泡が少なく、透明度が高いため、青だけを反射して他の色は吸収してしまうからだそうです。

昼になると船内でランチボックスが配られました。残念ながら、ここでも野菜なしのバンズに肉だけ挟んだラム肉バーガーでした。

午後からフェリーは、無人島へと向かいました。20年ほど前は人が住んでいたとか、古びた小屋が有りました。この自然環境下、厳しい生活を強いられたのではないかと想像しました。

その後フェリーは、昨日行った展望台の遊歩道の下を通りました。上から見るより迫力は倍増!実物大の自然を実感しました。

日中はそこまで寒くはないパタゴニアですが、甲板では身が縮まります。真夏のブラジルから行ったので、寒さが身に染みます。

私はすっかり出不精になって、船内から氷河を眺めていましたが、夫は多くの時間を甲板の上で過ごしていました。チラッと見ると、表情こそ変えずに飽きることなく大自然を眺めています。

そもそもリアクションは薄いのですが、内心はウキウキ。本当にパタゴニアへ来たかったのだと、分かりました。確かに、この大自然は一見の価値有りです。

 

エルカラファテの町、プンタワリチュ遺跡

一日中クルーズした後、ホテルへ帰り少し休んでから、エルカラファテの町のメインストリートであるリベルダドール大通り(Av. Del Libertador Gral. San Martin)へ向かいました。

町はとても小さいので、歩いて少し回れば全体像が分かります。

お土産には、町の名前にもなっているカラファテという植物の実から作った製品が人気です。お茶やジャム等です。北海道のハスカップに似た爽やかな味です。

他にも、町にはチョコレート屋さんがたくさんあります。あちこちで少しずつ食べ比べしながらのお土産探しは楽しいですね。アルゼンチンですから、マテ茶をお土産にするのもいいですね。

買い物をした後は、夕食です。そして夕食が終わっても夏空は、相変わらず明るかったです。

冬になれば、太平洋からの強い湿った風がアンデスの山並みに当たり、大量の雪を降らせます。雪は積み重なり、押し潰され、密度や硬度を増してやがて氷河になります。

パタゴニアは全季節型氷河と言われてますが、それでも夏だからこそ氷河クルーズが出来ました。

正直、真冬の厳しさは分かりませんが、帰国日に立ち寄った「プンタワリチュ遺跡(Pinta Walichu)」で、洞窟に描かれた壁画群を見ながら、パタゴニアの代名詞である強風をもろに体験しました。

先住民の過酷な生活を少し実感しました。

Written by 岩井真理(ブラジル)

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