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年齢なんて関係ない! 海外でハープの国際大会にチャレンジして夢を叶える

2020年11月30日
矢寺愛 (カナダ)

子育てがひと段落し、カナダで若い演奏家たちと一緒に挑戦

私が「ハープ」という楽器に出会ったのは11歳の頃でした。

母校の大先輩でもある上皇后美智子様がハープを優雅に演奏していらっしゃるお写真を目にし、私も弾いてみたい!と思ったのがきっかけだったのを記憶しています。

3歳からピアノを続けていた私がハープに転向、4年間続けたものの学業に追われ15歳で中断。その後、ハープを再開したいと思いながらも、結婚、子育てに忙しく、すっかり「音楽」から遠ざかっていました。

しかし細胞のひだの真髄にまで響くハープの音色が忘れられず、子育てがひと段落した今、「もう一度ハープを演奏したい!」という想いが強くなりました。

思い切ってカナダでハープを購入し、ハープの演奏家を目指すことに決めたのです。

現在は日々の努力が実り、カナダでオーケストラに参加したり、老人ホームやチルドレンホスピタルのイベントでの演奏、またはハープセラピストとして音楽療法を使った心に響く音色を奏でています。

そんな活動の傍ら、演奏技術を高め、練習のモチベーションをアップさせるために、現地で開催される、Vancouver Kiwanis Music Festival(キワニス音楽祭)と、KPU International Music Festival(KPU国際音楽祭)という2つの大会に毎年挑戦しています。

大会に出場するのは、ほとんどが私の子どもと同じぐらいの小中高生の子ども達。学生さんたちと一緒に競いながら、私は毎年挑戦し続け、早いもので今年で4回目となりました。

残念ながら、今年はCOVID-19のパンデミックを受け、カナダで歴史のある音楽祭の一つであるキワニス音楽祭は延期になりました。

こちらの大会はピアノ、ハープ、バイオリン、フルートなど様々な楽器の演奏者がそれぞれ競う大会です。

KPU国際音楽祭は春に行われる予定でしたが、秋にオンラインでの審査に変更になりました。

こちらの大会は、Kwantlen Polytechnic University (クワントルン工科大学)の音楽学部が開催している国際大会。

キワニス音楽祭と同様、さまざまな楽器の演奏者が聴衆の前で演奏することによって自信をつけることを目的とし、審査員である専門家から適切な演奏のアドバイスを受けることができます。

 

ビデオ審査によるオンラインでの大会とは?

それでは、COVID-19の異例の事態でのKPU国際音楽祭のオンラインでの大会の開催は、一体どのように行われたのか、皆さんにお届けしたいと思います。

KPU国際音楽祭の場合、キワニス音楽祭と異なり年齢別に審査されるため、私はAdult部門でエントリーします。

それぞれの楽器によって大会の日にちは異なり、通常は、自分の楽器を会場まで運び入れ、楽譜を審査員に渡した後、張り詰めた空気の中で演奏を始めます。

静まり返った大きなホールにいるのは審査員のみで、その緊張感は独特の雰囲気を醸し出しています。演奏中、審査員は楽譜を見ながら細かく演奏をチェックし、評価を書き込んでいきます。

今年はオンラインでの審査ということで、演奏した動画をYouTubeにアップロードし、リンクを送って後日に審査発表という内容でした。

演奏動画なら緊張せずに演奏でき、さらに何回も撮り直しができる!と、始めはラッキー!なんて楽観的に思っていました。

しかしハープという楽器は音が他の弦に共鳴するために、強弱やダイナミックさが伝わりにくく、動画だとさらに聞き手に全く伝わらない事が判明。

さらに動画を見返すと、自分でも驚くほど下手に聞こえてしまうのです。100回演奏して、満足できる動画が一回撮れるかどうかという感じで、納得できない自分の演奏に気が遠くなりそうでした。

一発勝負で審査員の前で演奏する方が、どんなに簡単か!と嘆いたほどです。一曲が7分以上ある曲を、完璧に自分が満足のいくように演奏ができるのは不可能だと、もはや妥協も必要でした。

 

Online Fall 2020 Harp Awards最優秀演奏者に

1ヶ月後、結果はメールで突然送られてきました。

予想に反して、Online Fall 2020 Harp Awardsアダルト部門でMost Promising Adult Harp Student (最優秀演奏者)に選ばれたのです!

賞金として50ドルをいただき、後日、賞状、コピーされた楽譜に細かく指導内容が書かれた用紙、小切手が郵送されてきました。

これまで積み重ねてきた努力が小さな芽を出し、そして評価されることで、自分は生きているんだという充実感と、やり遂げたという達成感を得られる瞬間でもありました。

楽譜を完璧に暗譜をし、演奏をするためには、毎日コツコツ努力を重ねてきたからこそだと自負しています。

日本にいる時は年齢を理由に諦めてしまうことも多々ありましたが、カナダでは年齢に関係なく色々なことが学ぶチャンスがたくさんあります。

日本に住んでいた頃、ハープと共に生きる今の自分の姿は、夢のそのまた夢でした。まさに夢が叶ったのです!!

夢を叶える秘訣は4つの『C』に集約されていると言われています。

「Curiosity-好奇心」「Confidence-自信」「Courage-勇気」そして、「Constancy-継続」です。

新たな挑戦は「好奇心」と「勇気」が必要です。そして「継続」していくことで「自信」に繋がります。

ぜひ皆さんも、今、この瞬間瞬間を大切に、興味があることにはどんどん挑戦し、夢を叶えていってください。年齢なんて関係ありませんから。

Written by 矢寺愛(カナダ)

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