9月に入り、日本では新学期、海外の多くの国では新年度が始まっていることでしょう。「やっと落ち着いて仕事ができる」というお母さんたちの声もよく聞きます。
女性の社会進出が広がってきたことにより、女性もキャリアを諦めず働き続けられるのはとても良いことだと思います。
その一方で、子供を安心して預けられるところがあるかどうかは、親御さんにとってとても重要な問題ですよね。
日本では保育園不足がよく報道されていますが、海外では一体どうなのでしょうか?
今回はオランダの託児事情、特に小学生以下の義務教育時間外の託児制度について書いてみたいと思います。
オランダでは4歳から小学校に通うことができます。2-4歳の未就学児は遊びと学校生活に慣れるためのPeuterspeelzaal(ピュータースペールザール、略してピューターと呼ばれています)に週2日ほどに通います。
就学時間は日本と比べて短く、共働きを続けるためには、高額でも託児制度に頼らざるを得ません。
オランダの託児制度(kinderopvang)は、子供の年齢や預ける時間帯や場所によって、大きく3つに分けられます。
0歳から4歳までを対象に、保育の有資格者がケアをしてくれる施設です。
平日の早朝から夕方まで、希望する曜日・時間に預けることができます。最も一般的な預け先であり、就労時間が一定している親には利用しやすい預け先です。
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例えば「月・水・金曜日の半日」といったように、最低数ヶ月単位で時間を固定して契約します。なので「明日預かってほしい」といった急な対応は基本的に不可。
費用は、2020年度は1時間あたり平均8.17ユーロ(1ユーロ=125円とすると1021円)。例えば朝8時から夕方6時まで10時間預かってもらうのに1万円以上かかります。
平日週5日フルで預けるとかなりの費用になるので、多くの両親は勤務時間を調整したりパートタイムに切り替えたりして、保育料をできるだけ抑えるよう努力します。
保育料は高額ですが、税金による還付があるので、実質の負担はもっと低くなります。
それでもある程度の金額なので、子供が小さい間は仕事を辞めたり、パートタイムに切り替えたりして、子供と過ごす時間を増やすお母さん(お父さん)が多いです。
この辺もオランダの子供の幸福度が高い要因になっているのではないかと個人的に感じています。(ユニセフが行った調査でオランダは子供の幸福度が2007年、2013年、2020年の3回連続で第1位)
頭文字をとって、BSOと呼ばれています。こちらは小学生を対象とした預け先で、いわゆる学童保育。放課後に加え、春休みや夏休みといった長期休暇の間も預かってくれます。
オランダの多くの小学校は水曜日は学校でランチを食べずに半日で終わってしまうのですが、BSOでは学校からのお迎え・ランチまで対応してくれます。
うちの息子も小学校低学年までお世話になっていました。
ピックアップに行ったら、ミニシアターで即興劇をして盛り上がっていました!
学校だと昼過ぎに終わるのが夕方6時まで預かってくれて、ランチもBSOから提供されます。室内外の遊具やアクティビティも豊富に用意されていて、工作やクッキング、プログラミングなどをすることができます。
費用は週1日の半日預かってもらうだけで、月200ユーロほど(1ユーロ=125円とすると25000円以上)。決して安くはありませんが、息子も楽しく通っていましたし、私も通常より長く仕事ができたので満足度は高かったです。
こちらも申請すれば、税による還付を受けることができます。
オランダではチャイルドマインダーによる保育も行われています。
gastouder(英語にするとguest parent)と呼ばれる保育者が、自宅や子供の家で預ってくれる制度です。チャイルドマインダーは自分の子供の他に、4人まで同時に預かることができます。
少ない人数で自宅や自宅付近で預けられるので、融通が効きやすいのが特徴。
チャイルドマインダーによっては夜遅い時間や週末にも対応してくれるので、仕事の時間が不規則な親にとってはとても助かる存在です。
費用は上の2つより少し安く、1時間あたり5.5〜7ユーロ(688円〜875円)くらい。これと別に飲食代がかかります。費用は会社やチャイルドマインダーによって若干異なります。
私のオランダ語の先生は現役時代夫婦共にフルタイムワーカーで、子供が小さい頃にこちらを利用していたそうです。フレキシブルに対応してもらえて、とてもよかったそうです。
オランダの子供の預け先は大きく分けて以上の3つになりますが、他にも育児サポートしてくれる存在があります。
まずは、オペア。ホームステイで現地の学校に通いながら、育児や家事をする留学制度です。
オペアは二十歳前後の女性が多く、子供の送迎や遊び相手などとして、より融通の効く育児サポートを受けることが可能です。
知り合いにも数組、オペアを受け入れている家族がいます。良いオペアさんに出会えるといいのですが、若者のホームステイを受け入れるにはそれなりの苦労もあるようです。
そして、最後に忘れてはならないのはおじいちゃん、おばあちゃんの存在。
オランダでは平日の朝や昼間に、ベビーカーを押す祖父母をよく見かけます。公園で遊ぶ子供の姿を優しく見守ったり、習い事の付き添い、スポーツの応援に来ている姿も。
オランダでは保育料がかなり高額なため、自分の両親や義両親に育児を手伝ってもらうのもかなり一般的です。
同居をする習慣はありませんが、近くに住み、お互いに行き来しやすい関係を築いているようです。
急な予定の変更や子供が急に体調を崩した場合にも頼みやすく、安心して預けやすいのはやはり身内ですよね。
祖父母にとっても孫と過ごす時間は良いようで、すでにリタイアしているオランダ語の先生もたまに孫を預かっては、その時の話を楽しそうにしてくれます。
祖父母も毎日となると大変ですが、負担になりすぎないよううまく助けを借りるオランダ人のバランス感覚は素晴らしいです。
たまにディナーや旅行に招待して、ちゃんとお礼の気持ちを形にしているところもいいなと思います。
いかがでしたでしょうか?
日本と似ている部分もありますが、その内容は結構違うのではないでしょうか。
実際にオランダで生活をしていて「子供たち幸せそう」と感じる場面は多くあります。その要因を色々と考えているのですが、鍵は家族と過ごす時間の長さとその質にありそうな気がしています。
近々そのことについても書いてみたいと思います!お楽しみに〜
Written by 藤村ローズ(オランダ)