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自己責任の国民皆保険という不思議な仕組み?!オランダの医療制度

2020年3月16日
藤本シタル陽子

民間保険会社の保険への加入が義務、一定額まで100%自己負担

皆さん、こんにちは。オランダの南部アイントホーフェン在住の藤本シタル陽子です。

今回は少し方向を変えて、オランダでの医療制度についてお話ししたいと思います。

オランダは日本と違い、国民健康保険 (会社員の場合、被用者保険)がありません。民間の保険会社の保険に入ることが義務付けられています。ですので、自己責任の国民皆保険という、不思議な仕組みです。

民間の保険ですので、契約内容を必要に応じて変更できオプションが付けられます。日本の生命保険会社の医療保険と同じ仕組みです。

お隣ドイツは日本と同じく、会社員の場合は給料から天引きになります。

この方式は給料の額面に応じて本人のニーズ関係なく健康保険料が上がるので、月に数万円強制的に払っているのにあまり医療機関を使わずもったいない(?)と言う不満の声があがりやすいのですが、オランダ方式は自分で保険料金を選べるのも特徴的です。

また、日本と大きく違うのが治療費の負担分です。オランダは年間385ユーロに達するまで100%自己負担です。健康な人だと病院行くこともなく、医療機関を利用してもこの額までなかなか達しないので、月額保険料が何の足しにもならないという落とし穴もあります。

(注: 健康に自信がある人は、この自己負担額を上げることで、月額の保険料を下げるという方法もあります。そもそも医者にかからず、医療費がゼロならば自己負担額が高額でも問題ないからです。)

この自己負担額ですが、高度医療を必要とする人や不妊治療患者にはとてもありがたい制度です。

オプションをつけておくと、不妊治療も他の治療費と合わせて、最大年額385ユーロしかかかりません。(厳密にはパートナーの分と合わせて年間770ユーロ=9万円強)

日本だと妊活に車一台買えるほど使ったとか、マイホームを諦めたという話を聞きますが、オランダ方式でいくと、通常の人工受精、体外受精ではまずこの上限を超えることはありません。

 

日本の医療システムは実は世界トップクラス

私も昨年ドイツでの単身赴任を辞めたのを機にオランダで妊活を開始し、不妊治療への経済的なアクセスのしやすさは我々の力強い後押しとなりました。

オランダの不妊治療はまずかかりつけ医との面談から始まります。

かかりつけ医とは、専門医に見てもらう前に患者の窓口となって症状を聞く役割をしており、歯医者以外の診療はほぼ全てこのかかりつけ医を通さねばなりません。ですので、かかりつけ医との相性が悪ければ専門医に見てもらえないという問題も起こります。

不妊治療も健康なカップルの場合、数回かかりつけ医の面談を経てから、という不毛なプロセスがあるらしいのですが、我々の場合、私の年齢が37歳ということもあり、一回の面談で紹介状を書いてもらうことができました。

しかしながら、専門医へのアクセスの悪さやオランダの医療の利便性の悪さは不妊治療を通して学んでいくことになるのですが、実はこういったことも海外移住の盲点と言えるのではないでしょうか。

実は日本の医療(保障)システムは世界で1.2を争うレベルで、そこから移住するとどんな国でもサービスレベルは低下してしまいます。言葉が通じるから日本のお医者さんが素晴らしいのではなく、いざという時にすぐに専門医に駆け込める制度が素晴らしいのです。

華やかに語られることの多い海外移住ですが、税金や医療という生活に直面する点はなかなか語られず、実際住んでみないとわからない、海外移住のダークサイドとなり得ることが有るのではないでしょうか。

Written by 藤本シタル陽子(オランダ)

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