MENU

どこまでOKでどこからNG?マレーシアムスリムの気になる恋愛事情、結婚事情

2019年3月25日

マレーシアは、国民の6割がマレー系マレー人。 そして、その大多数がイスラム教徒です。イスラム教のコーランの教えでは、婚前交渉はNGとか、髪の毛を隠さなければならない、体のラインが出る服を着てはいけない、などとされています。

ですが、コーランの教えの解釈の仕方や個人の信条によって、微妙にNGとOKのボーダーラインが変わるので、国によってのスタンダードが少しずつ違うようです。

中東の国のムスリムは、黒のアバヤという首から足先まで隠す服をきて、頭にかぶるスカーフも黒ずくめ。イギリスやオーストラリアのムスリムは、カジュアルな装いでファッショナブルで、皮膚を見せなければと、体の線はわかるようなピッタリしたジーンズを履いている若者が多かったりします。

今回は、マレーシアのムスリムについて。 女性の服装のことと、とくに気になる恋愛事情、結婚事情を書きたいと思います。

 

マレーシアのムスリムは、体の線が出ないロングスカートなどのカラフルな服に、ヒジャブというスカーフをかぶって、髪の毛を隠しているスタイルの方が多いです。

髪を見せないというのは、それが女性の魅力の象徴というようなとらえ方をしているので、他人に見せることで魅力をふりまいている、という解釈だそうです。父親や男兄弟など、近親者との間では髪を見せることは問題ないので、お風呂上りなど、家ではふつうに被っていません。

美容院は、ムスリム女性専門のところに行くことが多いです。 たまに、ムスリムでもヒジャブをかぶらずに生活している人がいますが、コーランの教えに書いてあるルールは、あくまでもアラーの神様と自分との約束なので、自分の中で神様に堂々と説明できるのであれば、他人がとやかく言う必要はない、とされているようです。

ですが、厳格なムスリムが多い地域かどうか、という場所によっても、人々のファッションの主流は変わります。 では、現代のマレーシアでは、ムスリム女性の恋愛や結婚事情はどうなのか、20代女性に聞いてみました。

 

まず、恋愛結婚は主流になりつつあります。ですが、結婚前の男女が2人きりで過ごすことはNG。 婚前交渉やキスはおろか、手をつなぐことも許されていません。

宗教警察が見回りをしているので、見つかると罪になります。 なので、だいたいは学校や会社のコミュニティ内でのグループ交際からはじまり、4人以上で遊びに行ったり、食事をしたり、グループでの付き合いの中で相手のよさをより深く認識し、そこから結婚を前提としたお付き合いにすすみます。

2人でデートをすることはOKですが、完全に2人きりになることはNG。 喫茶店やレストラン、映画館で2人でのデートはできますが、カラオケボックスや部屋の中など、他人がいない完全な密室で2人きりになることはできません。ホテルに宿泊する際は、結婚証明書を提示しないと同室に2人きりでは泊まれません。

例えば、「グループで海で遊ぼう」となった場合、海まで行く道のりを、男女2人で車に乗っていくことはOK。でも、海の帰りに、2人きりでひとけのない場所に車を停めて、車内で話をすることはNGです。

どうしても2人きりになりたい場合は、ヒジャブをとって、「イスラム教の人ではありません」というフリをする人もいるのだとか。裏技ですね。 マレー系の人種でも、キリスト教の方もいるので、ヒジャブをとってカジュアルな服を着てしまえば、ムスリムなのかどうかは見た目ではわかりません。

出会いが少ない職場にいる人は、インターネットで知り合うことも主流になっています。 出会い系マッチングアプリを使ったり、インスタでフォローして知り合ったり、フェイスブックで友達の友達にメッセージをしてデートすることもあるようです。

最近では、ジム活が人気。 ジムで運動をしながらグループで食事や遊びに出かけて仲良くなって、そこからお付き合いに進む、というケースがよく見られます。 運動をして心拍数が早くなるから、恋愛感情のドキドキと混同して、より早く恋に落ちることができるかな。

ムスリムの男性は、4人まで妻を持てるとされていますが、これは戦時中などに夫を亡くした女性を養ってあげられるから、といった、助け合いの精神からうまれた解釈のようです。

4人の妻には、経済的にも、愛情的にも、まったく同じ条件で接しないといけないので、かなり経済力のある男性でないとその生活を維持するのはきびしく、現代では妻は1人だけという状態の人が圧倒的です。

もしも夫が誰かに恋をして結婚したいと思ったら、本人同意の後、第一婦人に許可をもらった上ではじめて結婚できます。 ですが男性が強い社会なので、夫に同意を求められたら、どんなに嫌だと思っても、ノーというのは難しいみたいです。

逆に離婚についても、男性から2回「離婚する」と言われたら即離婚成立ですが、女性から離婚したい場合は、裁判所の手続きを経なければいけません。 イスラム教の結婚後の生活では、完全に男性優位社会。

男性は、妻を守らなくてはならない、とされているので、 夜に妻が1人で出かけるなどは安全上の観点から、禁止にしている家庭が多いそうです。 夫の指示に妻が従うのが基本的なルール。

やきもち焼きの夫だと、女性友達と出かけるのにもついてくるとか、夜の女性友達との外出を禁止するなどでがんじがらめになってしまう場合もあるとか。

一見、寛容そうでニュートラルな男性でも、聞いてみたら「夜の妻の外出は禁止」という方が何人もいて、驚きました。 ちょっとその束縛は勘弁してほしい…。

好きになったら、相手の全てを知りたいと思いますよね。結婚まで髪の毛や肌を見ることができなくて、触れることもできないと、逆に相手を知りたいがために、結婚を急ぐケースが出てくるのではないかと思います。

20代前半で若くして結婚する男女が多いのですが、そうすると、子沢山になりがちで、子供が成人した時点でまだ両親も若い。若者がたくさんいる国は、国としてのパワーが感じられるので、これからしばらくは、マレーシアはパワーが感じられる国のままなのではないかと思います。

Written by 土屋芳子

 

この投稿をシェアする

イベント・セミナー一覧へ
コラム一覧へ
インタビュー一覧へ
ブックレビュー一覧へ
セカウマTV一覧へ
無料登録へ