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夜と霧

2018年11月6日

人は、自分の存在が、無力でとてもちっぽけなものだと思い込んでしまうときがある。

終わりの見えない状況に、絶望してあきらめてしまいたくなるときがある。

“成し遂げたものがない”と、“幸せではない”と、“わかってもらえない”と、自分の存在意義を問うてしまうことがある。

生きていてもしょうがないと、ふと 思ってしまうことがある。

そんな時は、この本を手に取ってみてほしい。

ユダヤ系オーストリア人の精神科医で心理学者である著者 ヴィクトール・フランクルが、第2次世界大戦中にナチスの強制収容所で過ごした体験記(ノンフィクション)である。

世界で1000万部をこえるベストセラーである本書は、多くの人にとって、苦難を生き抜くためのサバイバル本であり、生きる意味を考える哲学書でもあり、何より、どんな状況下の自分をも肯定し奮い立たせてくれる「人生の友」だ!

著者が過ごした強制収容所は常に死と隣り合わせ。

簡単に凍傷になりそうな厳しい寒さや劣悪な衛生環境、休みない過酷な重労働、ひとかけらのパンと水のようなスープだけの圧倒的空腹、睡眠不足、不条理な暴力がはびこる超絶的ストレス下での生活である。

入所から解放されるまでの、著者自身を含めた人々の、段階的な心理の変化(それは主に自己防衛反応)を客観的視点で読むことができ、それは私たちが苦難に直面したときに起こりうる現象としての貴重な知識を得る事ができる。

また、過酷な日々の中でも、その状況をユーモアを加えてジョークに仕立てたり、幻想的な夕日の美しさのうっとりしたり、心の底で愛する人の面影に思いをこらして一瞬でも至福の境地を感じるこすべを身に着けたり、未来の自分が今の状況を大衆に向かって講演している様子を思い浮かべて未来を信じ続けるといった事も 生き抜くためのトリックとして学び深い。

そしてなによりも、どのように生きるのかは、自分で決められる ということに気付かせてくれる。

著者は、言う。

「人生の意味を問うのではなく、むしろ人生が私たちになにを期待するか問われていることを認識するべきだ。」と。

人生に何も意味を見いだせないと嘆くのではなく、人生が各人に化す課題へどう応えるのか。

どんな態度をとるのか。

収容所には天使のような人も悪魔のような人もいた。

被収容者の仲間に平気で暴力を振るうカポー、自分を放棄してしまう人、仲間を励ましあきらめない人、看守の立場でもこっそりパンを分けてくれる人、ポケットマネーで被収容者のための医薬品を調達する所長。

生きることは日々、そして時々刻々、問いかけてくる。

その問いの前に私たちは立っているのである。

どう生きるのか。

最後に、私の一番好きな 著者の言葉を紹介したい。

自分は、唯一でかけがえのない存在であるということを思い出して、また前を見ることができる言葉。

「あなたがどれほど人生に絶望しても、人生のほうがあなたに絶望することは決してない」

Written by 周さと子(マカオ)

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