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「映画とはかなり違う原作」ティファニーで朝食を トルーマン・カポーティ著

2020年7月31日

原作ヒロインはあまりオードリーっぽくない?!

オードリー・ヘップバーン主演の映画「ティファニーで朝食を」を見たことがある人は多いと思う。でも、この作品は小説が原作となっていることを知っている人はあまり多くないかもしれない。

今回ご紹介する本は、まさにその原作小説。

第二次世界大戦下のニューヨークを舞台に、1人の新人女優ホリー・ゴライトリーが数々の男たちを虜にし、ある日突然はかなく消えるストーリー。

当時の時代背景もあり、新人女優のホリーはまったく清純派ではない。

キュートなルックスに天真爛漫で可憐だが、あからさまに男たちにチップをねだり、次から次に男を部屋に引き込んでいく様子はほとんど娼婦である。でも、だからこそ男たちはその魅力に取り憑かれてしまうのだろう。

この小説の冒頭は、回顧シーンからはじまる。ある日忽然と姿を消したホリーの幻影を追いながらバーで語り合う2人の男たち。

そのうちの1人はこの本の主人公であり、執筆者の設定となっている「僕」。駆け出しの小説家であり、この小説の筆者トルーマン・カポーティ自身であると思われる。

カポーティの小説は、フィクションとノンフィクションを織り交ぜながら描く、「ファクション」というジャンルを書く作家としても知られている。(「冷血」という作品もおすすめ)

 

天真爛漫で憎めない魅力的なヒロイン

「僕」の前にひょんなきっかけに現れたホリー。

朝食用のシリアルを思わせるような健康な雰囲気があり、石鹸やレモンのような清潔さ。口は大きく、鼻は上を向いていて、16歳から30歳のどの年齢にも見えるが実際には19歳。

鍵をいくつ作ってもなくしては時間構わず隣人のドアベルを鳴らし、男を連れ込んだり追い返したり、レズのルームメートを探したり、彼女はとにかく気まま。周りの人々に迷惑をかけまくる。けれど、そんな不思議な魅力を持つ彼女に僕は惹かれていく。

女優として徐々に売れ始めるホリー。しかしそのことは彼女をさらにトラブルに巻き込んでいく。そしてある日、彼女は手紙を残して消える。。。

私が読みながら感じたのは「ホリーって全然オードリー・ヘップバーンっぽくない」だ。どうしても上品のあるオードリーのイメージとは大きく違って、小説の中のホリーはもっと人間臭い、俗世っぽいのだ。

ご存知の通り、オードリー版のティファニーに朝食をは商業的に大成功した訳だが、この原作を読むと、どの女優がホリーを演じたらより原作に忠実な作品が撮れるのかという空想が止まらなくなる。

皆さんにもぜひこの本を読んで、あなたなりのホリー女優を見つけて欲しい。

最後になるが、本書の翻訳者はあの村上春樹氏である。彼も巻末の訳者のあとがきの中でそのことについて言及している。

村上春樹氏の世界観の香りがほのかに漂う本書はハルキストにもおすすめできる一冊だ。

Written by 藤村ローズ(オランダ)

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