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「ロスねこ日記」北大路公子著

2020年6月3日

ありきたりな日常が中毒性の高い読み物に

ほとんどの人の日常生活は大しておもしろくありません。起きて、ご飯食べて、用事を済ませて、寝る。その繰り返しです。

本日紹介する本の著者、北大路公子さんの生活も平凡です。

わたしはこれまでに彼女のエッセイ本を数冊読みました。そこに書かれていた彼女の日々は主に、

(1)お酒を飲むこと
(2)スポーツ(相撲か野球)を観戦すること
(3)たまに国内旅行(これもお酒を飲むことがメイン)

に行くことで構成されています。

あとはごはんを食べたり家族や友人と話したりなど。どれも大して特別なことではありません。しかも、彼女は何をやるにしても基本的にやる気がなさそうです。

座右の銘は「好奇心は身を滅ぼす」と語る彼女の文章からは、人生に対する意気込みや覇気のようなものが全く感じられません。

そんな酒好き中年女性の日常を綴っただけである彼女のエッセイは、一見、果たしてお金を払って読む価値があるのだろうかと思ってしまいます。しかし、読み始めると止まりません。

彼女の脳内で変換されて我々に届けられる彼女の日常を、笑わずに読むことはできません。そして、読み終わるとすぐにまた別の彼女の作品が読みたくなります。中毒性があるのです。

 

猫穴を埋めるために始めた植物栽培記録

そんな北大路さんが書いた本書「ロスねこ日記」は、これまた淡々と植物を育てるだけの話です。

植物を育てる理由は、かわいがっていた猫が死んでしまったために生まれた心の穴、通称猫穴を埋めるため。もちろん、何事にも消極的な彼女が「植物で猫穴を埋めて人生を前に進めよう!」などと思いたったのでははありません。

猫の話ばかりをする北大路さんを不憫に思った知人の方が見かねて提案したのです。

彼女は知人から送られてくる植物を黙々と育てます。育てる植物を自ら選ぶことはしません。あくまで受け身です。知人から渡された植物を育てているだけ。それなのに、彼女の目を通した植物たちの成長期はなにやらドラマチックです。

例えばヒヤシンス。3つの球根が彼女のもとに届けられます。このヒヤシンスの成長期は、彼女の頭の中で3人組の地元アイドルグループの成長ドラマに変換されます。マネージャーとして彼女たちを立派にデビューさせる(すなわち、花を咲かせる)ことが北大路さんの使命なのです。

果たしてうら若き少女たち(実際にはヒヤシンス)を表舞台に立たせることができるのか?衝撃のデビュー曲のタイトルはいかに?そして、肝心の北大路さんの猫穴を埋めることはできたのか?

気になる方はぜひ本書を手にとってみてください。

 

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Written by げんだちょふ(日本)

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