フランス人は10着しか服を持たないって本当だろうか??
私自身、そんなに衣装持ちな方ではないと思うし、数年に一度の引っ越しでかなりの服を処分してきた。でも、10着なんて無理!絶対に無理!!
もしこの本のタイトルが本当ならば、その謎を解かし明かしたい。できれば自分にも採り入れたいと読み始めたこの本。
著者のジェニファー・L・スコットさんは、学生時代はビーチサンダルとバーベキューに慣れ親しんだ典型的なカリフォルニアガールだったという。
そんな彼女は大学3年生の時にパリの由緒ある貴族の邸宅にホームステイしたことがきっかけで、人生の価値観が大きく変わったそう。
この本は当時を振り返って書いたブログ「The Daily Connoisser(暮らしの達人)」の中の記事を元にして書かれたものである。
原題は「Lessons from MADAM CHIC」となっており、直訳すると、マダムシックからのレッスン集ということになる。
ちなみに、chicの意味を辞書で調べると、「しゃれた、あか抜けした、粋な、シックな、上品な」。
ページを開くと、まえがきにマダムシックの自宅の描写があり、冒頭から濃厚に上品であか抜けした空気が溢れ出しはじめる。
リビングの革張りのアームチェアで、ゆったりとくつろぎのひととき。刻みタバコの香りがふんわりと漂っている。天井まで届く窓からは、パリの街のやさしい夜風がそっと流れ込み、ゴブラン織りの美しいカーテンは優雅なひだを描いて、たっぷりと床に垂れている。ヴィンテージのレコードプレーヤーから聞こえてくるのは、クラシック音楽の調べ・・・・
たたみかけるようなシックな描写に冒頭からうっとりしてしまう。
そこに登場する、ムッシュー・シックとマダム・シック。彼らにとっては日常生活の一部なのであるが、とにかく素敵としか表現のしようがない。
では、彼らの何が素敵で、特別なのだろうか。
本を読み進めていくうちに分かってくるのは、彼らの生き方はやはり格式高いということ。一族は貴族の末裔であり、洗練された暮らしの伝統は、名高い先祖から受け継がれ、守ってきたもの。
「私は貴族の末裔じゃないから土台無理な話じゃない」と諦めるのはまだ早い。
全部とは言わずとも、自分にできそうなことから採り入れることで少しずつ自分の中にシックを見つけられるはず。
例えば、
・自分自身や周りの人のために、毎日きちんとした装いをする。スウェットで1日過ごすなんてもってのほか。
・家を出る前に、鏡の前で全身チェックをする。後ろ姿も忘れずに。
・女らしさの決め手は、姿勢の美しさ
・爪は短く、シンプルなマニキュアを
少し気をつければ、続けていけそうなことばかりだ。
また、この本の題名にもなっている「服を10着にする」方法も分かった。
簡単ではないが、実際に行動してみれば意外にできそうな気がする。
興味のある人はぜひこの本を読んでみてほしい。今回紹介したのは著者の処女作で、人気のためシリーズ化され現在5冊目まで出ている。
私の住んでいるオランダは、合理性と飾らなさが売り。お洒落をしてる人があまりいないし、よく自転車に乗るので服装はカジュアルスタイルが多い。
チーズとじゃがいもがあればいいのではないかというほど、食べ物にもあまりこだわらない。住んでいるうちにいつの間にか我が家にもオランダ文化が浸透してきている。
アムステルダムには自由があるし、綺麗な街だし、アムステルダムの良さがある。
でもやっぱりパリは格別だ。
そういえばアムステルダム在住の知り合いも、先日ツイッターでそうつぶやいていたっけ。
Written by 藤村ローズ(オランダ)